連載 宮子あずさのサイキア=トリップ・57
病院に愛着をもつ幸せ
宮子 あずさ
1
1東京厚生年金病院
pp.124-125
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100410
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20年ぶりの出会い
10日ほど前の午後。外来棟を歩いているとき、私は後ろから「宮子さん」と声をかけられました。振り返って見てびっくり!その声の主は、新人時代にお世話させていただいた神経系難病の男性だったのです。およそ人の名前を覚えられない私が、フルネームで名前を覚えていたのは、記憶に残る患者さんだったからに他なりません。「お互い年を取りましたね」と声をかけられたとき、私は不覚にも涙が流れてしまったのです。
20年ぶりに会ったその方は車椅子で、酸素ボンベを装着しながらヘルパーさんの介助で外来に来ていました。肺気腫のため今では在宅酸素となり、難病も進行して今はほぼ寝たきりだそうです。それでも福祉の手を借りながら、1人で暮らしているとのことでした。
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