特集2 「心神喪失者等医療観察法」で精神医療はどう変わるか
心神喪失者等医療観察法と患者の権利―追い詰められるアドヴォカシー
小林 信子
1
1東京精神医療人権センター
pp.75-80
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100187
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いまここにある 精神医療と新法の関係
まず,先日の出来事から話していこう。
その患者さんは,16年間の医療保護入院で初めての外出だった。入院している病院は,全閉鎖病院で家族が訪問したときにのみ一緒に外出できる。この患者さんは,保護者が見舞いには来られない状況だったのだ。数年前,地元の弁護士会に退院の相談をしたことから,弁護士の面会が実現し,弁護士が退院請求の代理人になって,私たちの「センター」も援助を求められた経緯があった。これに対し,審査会は病院の拘禁的方針を支持し,「現状の入院継続」という結果を出していた。
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