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はじめに:
海外の学会に参加することについて
本稿では、海外の学会で、専門職種が取り組んでいる「精神科領域における暴力やリスクに関する研究」の中から、私が興味深いと感じたものを報告したいと思います。
初めに参加したのは、のちにご紹介する『精神看護研究ネットワーク国際学会(7th NPNR)』で、4年前のことです。その次が、2年前に参加した『精神科臨床での暴力に関する欧州学会(3rd European Congress on Violence in Clinical Psychiatry European)』になります。私自身学会発表というものを、このときに始めて体験しました。そして、去年はオランダで開催された『攻撃性転換訓練国際学会International Center for Aggression Replacement Training (2nd ICART)』(2004年9月22~24日)に参加し、その5日後には、オックスフォード(英国)で開催された『精神看護研究ネットワーク国際学会(10th NPNR)』(2004年9月29日~10月1日)に出席するというハードスケジュールを乗り越え、ここで2度目の海外発表をし、無事帰国しました。
海外の学会は、日本の学会と比べるといくつか異なる点に気がつきます。すべての学会について言えるわけではありませんが、雰囲気、参加メンバー、そして参加費が違います。雰囲気は温かく楽しいもので、参加者は職種を越え、国も越えています。多専門職種による国際的な雰囲気で行なわれています。そして参加費ですが、3日間、休憩時間のドリンクや食事付で、日本円にすると7~8万円かかります。
しかし、得るものは大きく、国内の臨床で問題視されていても研究レベルで扱われていないものが国外では研究されていることがありますし、諸外国の臨床で試みられている計画や新しい視点、見解を得ることができます。また、諸外国の研究者や臨床家とのネットワークができるというのも素晴らしいことだと思います。この非公式のネットワークによって、いくつかの精神病院、司法病棟、社会復帰施設を見学することもできました。実際に、2年前にロンドンで行なわれた『精神科臨床での暴力に関する欧州学会』で知り合ったオランダの方と、昨年『攻撃性転換訓練国際学会』で再会し、その方の勤務する司法精神病院(Dr. H. van der Hoevenkliniek)の見学をさせてもらうことができました。
さてここから、参加した学会の紹介と発表された研究や参加したワークショップの中から、興味深かったいくつかを紹介していきたいと思います。
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