連載 当事者研究・25
「どうにも止まらない涙」の研究
吉田 めぐみ
1
1しあわせ研究所
pp.80-84
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689100052
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1. はじめに
コントロール不能の涙に困る
私の自己病名は「慢性涙腺緩みっぱなし症候群 自分いじめ型」である。とにかく場違いな場所や場面で、感情とは無関係に涙が出てくるのである。それがだんだんエスカレートし、仕事や人間関係にもいろいろと支障が出てきている。
主治医の川村先生に言わせると「眼が失禁している」とのこと。自分なりにも、弱いからすぐ涙が出るのだと思い、涙を出さないように強くなる努力をしてきた。例えば、泣きそうな場面になると必死に我慢したり、その場から立ち去ったり、トイレに閉じこもって自分を落ちつかせようとしたりと、それこそ“涙ぐましい”努力をしてきた。しかしその結果、「眼の失禁状態」はもっとひどくなり、周りにも「涙でごまかすんじゃないよ」と言われて、そんなつもりじゃないのに、涙が止まらないことを説明できないもどかしさで自分に腹が立ち、嫌気が差すという悪循環にはまっている。
そんなとき、たまたま参加したデイケアの当事者研究ミーティングで、みんなと一緒に「涙の研究」をする機会に恵まれた。今回は、そこでの研究成果を報告したい。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.