New Sexology
快楽するは脳にあり
大島 清
1,2
1京都大学
2愛知工業大学
pp.108-109
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900285
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好んで不快を求める阿呆はいない。私たちは快感を追求しながら日常を生きる。動物もまた同じである。これが,いわゆる「快感原則」あるいは「快楽原則」と呼ばれるもので,この原則を推進するエネルギーが「イド」,つまり,精神の奥底にひそむ本能的エネルギーである。
人間の場合は精神と呼べるが,動物では精神と言わず「情動」か快・不快・不安・怒りといった素朴な心を生む。動物の行動が,直情径行,単刀直入なのはそのためである。腹が減れば獲物を斃すし,発情すれば交尾にふける。恥という文化ももたないので,パンツははかず,性器は露出するし,人前をはばからず性の営みもする。彼らにとっては,快感を追求するための,ごく当り前の本能行動なのである。
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