連載 比較介護論・10
デンマークのホームケア・10
利用者・高齢者の声を反映する仕組み―政治家による年2回のヒアリングと地区高齢者委員会
村嶋 幸代
1
1東京大学医学系研究科・地域看護学分野
pp.758-761
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688902295
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老人ホームにおける政治家の意見聴取
写真1は,あるナーシングホーム(プライエム)で,年に2回は見られる光景である.中央に立っているのは市議会議員.利用者から直接意見を聞いているのである.このミーティングの参加者は,そのホームの全利用者,家族,従業員である.午後のひととき,昼食後の1時から3時くらいまでが当てられている.
今回は,特に目立った討議はなかったということであるが,その前の年には,アクティビティの利用料のことで,大議論が起こったということである.つまり,前年から高齢者がアクティビティに参加する際に,1人5クローネ(約100円)徴収することになり,それに対して利用者も従業員も大きな声で文句を言ったのである.アクティビティは,機能訓練後その機能を落とさないために,引き続いて行なうものである.ナーシングホームの看護婦Annは,“これらの活動を有料にすると必要な人が受けられなくなる”と,随分自分も主張したのだが,結局有料のままだ」とこぼしていた.
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