特集 要介護者の評価技法をめぐって
マージョリー・ウォーレン小伝―老年医学の先駆者との出会い
岡本 祐三
1
1神戸市看護大学
pp.551-554
発行日 1997年8月15日
Published Date 1997/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901694
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「ベッドに固定(“寝かせきり”に)することによって,たいていの人は骨組織が脆くなり,軟部組織(筋肉や腱など)がこわばり拘縮を生じる.筋肉は萎縮し,腱は短縮し,四肢はねじ曲がったかたちに変形する.四肢の拘縮のタイプや程度はベッドの上での姿勢で決まる.長期間誤った姿勢のままにしておくと,四肢の関節が変形して固定し,動こうとしても動けなくなってしまう.特に股関節や膝の関節,足関節がそうなりやすい.またこれには精神的状況あるいはベッドシーツの具合まで関係してくる.
“寝かせきり”だけでなく,座らせたままの場合でも,上肢が肘のところで屈曲し腕全体が外向きに固まってしまうことがある.そうなると肩関節と肘関節がそのかたちで固定し非常に動かしにくくなる.また座位では前かがみの姿勢で頸部が固定されることがある.そうなると,自分で身体を動かすことがいっそうできにくくなり,床ズレを生じたり,悪化させやすくなる.あるいは新陳代謝が低下し運動が不足すると,心臓の筋肉が弱り,大腸の運動も低下して便秘になる.便失禁として扱われている場合でも,実はそれは便が出口で滞留するために溢れてくるのを,失禁状態と間違うことがよくある.
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