ホームヘルプの現場から
援助の組み立て
矢野 恭子
1
1世田谷区福祉事務所
pp.368-371
発行日 1997年5月15日
Published Date 1997/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901664
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◎退院してきたKさん
Kさんは51歳の女性です.若い頃からリウマチにかかり,お母さんが亡くなってからは,今年85歳になるお父さんと2人で助けあって暮らしてきました.40代から手足の障害が重くなるとともに心臓も悪くなり,民生委員のすすめでようやくホームヘルパーの申請をした時には,Kさんはトイレに行くのもやっとで,ベッドに寝てばかりいました.Kさんは「入院したくない」「食べたくない」と,話をするのもおっくうそうです.そして何回も訪問しないうちにKさんは救急車で入院してきました.
Kさんが退院できたのはちょうど1年後でした.大病院に転院し,心臓の人工弁置換術のほか,両膝の人工関節置換術も受けたのです.ヘルパーが訪問を再開してみると,久し振りに会ったKさんは声にも張りがあり,にこやかな顔で挨拶されました.リハビリもうけて,Kさんはベッドからの立ちあがりも楽になり,つたい歩きながら室内は移動できるようになっていました.薬が変わったせいか痛みのコントロールもついているようで,上肢の可動域も広がっていました.
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