今月の主題 下痢と腸疾患
下痢患者をみたらどうするか
検査法—検査の組み立て
酒井 義浩
1
Yoshihiro Sakai
1
1東邦大学医学部付属大橋病院・消化器診断部
pp.1418-1419
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219178
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問診の重要性
検査法を組み立てる際に,問診は理学的所見とともに重要である.誘因になる飲食物の摂取,下痢に前駆する症状の有無と随伴する症状の消長,下痢の回数,便の色,臭,混入物などについて聴取することにより,概略を推測することは可能である.既往歴が枢要な示唆を与えてくれることもある.肝疾患,膵疾患,甲状腺疾患,糖尿病にはしばしば合併し,胃腸切除,放射線照射,人工透析などが慢性下痢を惹起することも知られている.幼小児期の健康状態は,慢性下痢の例では十分明確にされるべきである.嗜好品(ことにアルコール)が遠因となっていることも少なくない.常用薬や他科での治療内容(ことに抗生物質,制癌剤,消炎剤など)についても聴取すべきである.社会歴や業務内容との関連も明確にしなければならない.心因を評価することは必ずしも容易ではないが,家族に同様症状を有する場合もあり,患者または家族が症状の類似性に気付いていることもある.
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