連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・16
介護と洗髪
井上 範江
1
,
児玉 有子
1
1佐賀医科大学
pp.577-581
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901525
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誰しも健康であれば,自分の希望に合わせて自己ケアができます。しかし,療養や障害によって自己ケアができず,身体の清潔に対する他者の援助が必要になった場合,全身の清潔が完全に保てなくても頭,顔,口腔,手,汚れのひどい皮膚,陰部および足などの部分的清潔の保持が重要になってきます。これら各部位の清潔の援助は,清潔保持や疾病予防の一義的役割だけではなく,快適感から生じる安らぎや,人間らしく清潔を維持できることへの安心感をもたらします。また,援助者の思いやりのある声かけや態度は自己尊厳につながる心理的効果も生じ,洗髪は人間の基本的ニーズに対する大切な援助であるといえます。
洗髪時の姿勢や援助方法は,対象者の健康状態に応じてさまざまです。ここでは在宅看護と介護の対象者として,ベッド上で洗髪する方法しかとれない場合を想定し,看護生理人類学の視点で洗髪による生理的変化を中心にお話しします。
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