連載 快適な療養生活のために―生理人類学への招待・21
ナイチンゲールと生理人類学
小林 宏光
1
1石川県立看護大学基礎領域
pp.1004-1006
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901427
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科学者としてのナイチンゲール
ナイチンゲールは子供から大人まで知らぬ人がいないと思われるほど有名な存在です。しかし「クリミア戦争で献身的に負傷兵の看護にあたった」というような臨床家としての面のみが強調されており,公衆衛生の向上のためにさまざまな政策の実行を政府に働きかけた政治活動家としての一面や,看護という行為を科学的に定義した研究者としての一面などは一般にはあまり知られていないようです。
ナイチンゲールには統計学者としての活動もあるのですが,その統計学を用いて行なった膨大な調査研究の結果を,公衆衛生の向上や看護技術の改良などに関する提言の根拠として用いています。この点からナイチンゲールは近年注目されているEBN(Evidence-based nursing)の開祖であるということもできるでしょう1)。
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