特集 ONLY ONE EARTH
人類が生き残るためには
西川 滇八
1
1日本大学公衆衛生学教室
pp.151-152
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204631
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人口汚染
快適な環境下で,十分な飼料をあたえてマウスを飼育していると,初めはさかんに繁殖する.しかし,何世代かを経てある限界に達すると食欲はなくなり,繁殖力も落ちてきて,マウスはやがて死滅するようになるという.
人類にはかかる現象はおこらないであろうか.すでに地球上から姿を消した巨大動物たちは,一時代は繁栄していたが,やがて他の種族に征服されて消滅したということである.人類もまた,先進諸国においては一様に発育促進現象がみられており,体型も次第に大きくなりつつある.キリスト紀元の頃に2〜3億といわれた人口は,初めの1,650年間にようやく2倍の5億になったが,その後の300年間には5倍の25億にふえている.しかも,1950年に25億であった人口が,その後の20年間に11億もふえ,現在36億といわれている.年間5,500万人の増加で,自然増加率にすれば,人口1,000対22という高率である.わが国で優生保護法を改正して人工妊娠中絶を解放したベビィ・ブームの時期でも,21.6であるから,すさまじい繁殖力である.
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