特集 在宅における効果的な口腔ケアを目指して
訪問看護ステーションあおぞらでの口腔ケアに対する取り組み
上野 美保子
1
1訪問看護ステーションあおぞら
pp.907-910
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901416
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焼き物の町として知られる佐賀県伊万里市。なかでも秘窯の里,大川内山の近くに,わが訪問看護ステーションあおぞらはある。スタッフは所長を含めわずか4名で,利用者数も30~40名前後。優しさと温もり,信頼を看護理念に掲げ,日々エリア内を奔走している。介護保険導入によって,ステーション経営も訪問回数の削減,時間短縮等によりなかなか厳しい状況にある。しかし,さまざまな関係機関と連携をとりながら2年が経過した今,介護保険制度に事業者,利用者も少しずつ慣れて,サービス提供もスムーズになりつつある。
伊万里市の人口が約6万人で,高齢者が占める割合が22.5%,そのうち介護保険で提供を受けている人の割合が80.8%と非常に高い。利用者が住み慣れた町で,家で,家族と共に生活するには,保健・医療・福祉の支援体制の充実が絶対条件となる。市では,平成7年より県内で初めて寝たきり高齢者を対象に,歯科医師による訪問歯科診療事業を開始した。伊万里有田地区歯科医師会ではその意義を「健康な口元から」「人の生きる出発点は①口から食べ②健康な口でしゃべり③健康な排泄をすること」と,唱えている。この訪問歯科制度により,利用者がわざわざ歯科へ出向く事もなくなり,我々訪問看護師も同時訪問する機会に恵まれた。最近では利用者の自宅庭先で,楽な姿勢で治療を受ける事も可能となった。
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