連載 “生きる”って?―こころに残る諸体験をひもときながら・2
介護者のこころを掘り下げる(その2)―本音が出るとき,人生観がゆさぶられるとき
山本 勝美
1
1東京都保健所心理相談員協議会(事務局)
pp.156-160
発行日 2001年2月15日
Published Date 2001/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901276
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“老衰”をどう受けとめる?
かつては屈強だった,やさしかった,忍耐強かった,そのおやじが今は,歩けない,わがままを言う,すぐイライラするなどすっかり変身してしまった。そのへんはのみ込んでいるつもりでも,かつての姿が今もぼくのなかに残っているものだから,あらぬ期待をしてしまい,あてがはずれてはこっちがイライラしてしまう。こんな自分の限界をどうすることもできない。やさしくなれるときもあるが,つい怒ってしまうときも多い。
そんな話題になったとき,ある知人が「年を取るということはまた赤ちゃんの姿に返ってゆくことなんですね」とひとこと言ってくれ,はっとした。
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