連載 ケアはつづくよ・11
あなたは自分にストーブを向けられる?
飯島 惠道
1
1東昌寺
pp.954-955
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901247
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山々を彩る紅葉もそろそろ終わりの季節。信州には足早に冬がやってくる。もうこたつを用意した家庭も多いのではないだろうか。高齢者世帯では「もう,とっくの昔(“だいぶ前から”の意)」にこたつが用意されていることだろう。こたつとストーブは信州の冬の必需品だ。ストーブだけで信州の冬を乗り切ることができたという強者には,まだお目にかかったことがない。しかし,我慢強さによって暖をとる程度は異なってくる。我慢強い人は,こたつだけで過ごすことができるかもしれない。しかし私は,「冬はこたつにあたってアイスクリームを食べ,夏はクーラーをきかせた部屋でホットコーヒーを飲む」くらいな環境でないと気が済まない方なので,間違っても我慢強い人間ではない。
我慢強いということも大切なことだ。自分に厳しくできる人でなければ為し遂げられないことだ。忍耐力が強い,辛抱強い,このような意味での我慢は,大切な修行でもある。大乗の菩薩の修行徳目である六波羅蜜(ろくはらみつ)のひとつに「忍辱(にんにく)」というのがある。あらゆる侮辱や迫害に耐え忍んで怒りの心を起こさないこと。これを修行することによって,すべての外からの障害から身を保護することができるため,「忍辱の衣」「忍辱の鎧」と言われる。
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