特集 事例検討のススメ
効果的な事例検討の進め方
須加 美明
1
1熊本学園大学社会福祉学部
pp.235-241
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901164
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効果的な事例検討がケアマネジメントの基礎
ケアマネジメントとケアプランの必要性が言われているが,実践現場で具体的に取り組む方法としては,いまひとつ分かりにくさが残り続けている.その原因はいろいろ考えられるだろうが,ひとつには「何か新しい技法があって,それを実施すれば(一挙に)ケアが変わる」かのような理解のされかたにも一因があると言えよう.ケアマネジメントにしても,その基礎となるケアプランにしても,サービスに利用者を合わせるのではなく,利用者のニーズを中心におき,それに合わせて多職種がチームで取り組むところに,発想の転換がある.つまり基本は利用者の理解であり,総合的なニーズ把握である.利用者についての総合的(全人的)な理解が各職種間で共有されたとき,その結果として,円滑なチーム・アプローチができる.
利用者についての理解を深め,援助を多角的に考える手法のひとつとして事例検討がある.ケアマネジメントやケアプランを,輸入品のように扱うのではなく,実践現場に定着した技術にしていくためには,利用者を多面的に理解し,援助の効果を高める手法として,事例検討を位置づける必要がある.このためには,いままでやっていた事例検討の仕方を変え,総合的なニーズ評価にもとついて,援助計画をつくるチーム討議の場にしていく事例検討の方法論が求められている.
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