連載 暮らしの手触り・第11回
アートと暮らしとコミュニケーション
坂井 雄貴
1,2
1にじいろドクターズ
2ほっちのロッヂの診療所
pp.506-507
発行日 2024年11月15日
Published Date 2024/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688202166
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二年ほど前から、私はアート・コミュニケータとしての活動をしている。上野にある東京都美術館では十年ほど前から「とびらプロジェクト」という、ソーシャルデザインプロジェクトを行っている。これは、アートを通して人と作品、人と人、人と場所をつなぐ場作りをするアート・コミュニケータを育てるプロジェクトで、プロジェクトが表現する「生きる糧としてのアート」「心のゆたかさの拠り所」といったキーワードが、人のwell-beingを育む場所を目指して医療に関わっている自分にとって、ぴったりとはまったのだった。今は月に何度か、軽井沢から上野に通っては美術館で活動を行っている。
家でも仕事でもない、第三の場所を持つのはよい。何かに行き詰まったときには一息つける場所になるし、物事がうまくいっているときもさらに刺激を受けてアイデアが湧いてくることもある。アートや場作りについて学んだり、展覧会で鑑賞のサポートをしたり、仲間と対話を重ねたりする活動は、新鮮でとても気持ちがよい。そして、この活動を始めて変わったなと思ったことがある。それは、アートを通して人の「好き」への感受性が高まったこと、そこから感じられる人の営みに思いを馳せられるようになったことだ。
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