癒しの環境
病院にアート
河西 浩司
1
1アートファクトリー玄株式会社景観事業部
pp.337
発行日 2000年4月1日
Published Date 2000/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541902976
- 有料閲覧
- 文献概要
1999年は「ヒーリングアート」という考え方について多方面の方々と頻繁に意見交換をした年でした.それらの多くは,「ヒーリングアート→自然をテーマとした作品→自然に包まれる→自然治癒力→癒される環境」といった図式になっており,その背景には,医学の進歩に多くを頼って病気を直す社会に生きてきた現代の私たちが,それと引き替えに「自然と共生しながら治癒力を高める」という本来的な特性を失ってしまったという想いがあるようです.
ヒーリングアートと称されるものすべてがこの図式に当てはまらないことも事実です.私的な体験ですが,米国留学中に体調を崩しMRIを使用した検査を受けることになりました.当時の英語力では状況の把握が完全でなかったことから極度に緊張してしまい,筒の中に体が吸い込まれ定位置についた時には,緊張がピークに達していました.ふと目を開けると,目の前に丸く黄色いスマイルマーク(図)のシールが貼ってあり,それに気が付いた瞬間に張り詰めていた気持ちが一気に楽になったことを覚えています.これもヒーリングオブジェの一つと考えてよいのではないでしょうか.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.