特集 施設看取りを実践しよう—「介護スタッフへのサポート」が求められている
—【看護師に求められるスキル❷】—「極力手を出さない」という高度な看護実践—施設看護師は老衰看取りで何をして、何をしないか
川崎 千鶴子
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1特別養護老人ホームみずべの苑
pp.30-34
発行日 2020年1月15日
Published Date 2020/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201353
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外からは穏やかに見える施設での生活
施設看護師は介護職のサポート役
高齢者施設の生活は外から見れば、何事もなく穏やかに過ごす高齢者たちの姿に見えますが、そこには多く人のバックアップがあり、水面下での介護と看護のたゆまぬ努力の継続が行われています。なかでも、百歳に近い、しかも継続的な介護を必要とする人々が大勢で暮らすのが、特別養護老人ホームです。職員の仕事はまるで、舞台役者を支える黒子のようです。たとえば、日本における交通機関の運行は、時間どおりが“当たり前”です。災害や事故がない限り安全は保たれているように見えますが、実はその裏で多くのリスクマネジメントが行われています。それと似ている部分があるでしょうか。
介護の場では、生活のほとんどに「リスクの芽」がある中で、何事も起こらず最期の時まで穏やかに過ごす「環境コントロール」こそが、私たち施設職員の仕事の多くを占めます。生活を営む周辺で、さまざまな準備や予防に手間をかけるのです。つまり、高齢者施設の穏やかな“当たり前”は、関係する職種による仕事の“結果”なのです。
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