特集 「願い」を問う、つなぐ、叶える—訪問看護はどのように意思決定を支援し、実現するか
—【事例報告❺】—医療的ケアの必要な子どもに宿る意思をつないで—多機関・多職種連携で就学・就職を叶えた事例
野崎 加世子
1
1岐阜県看護協会立訪問看護ステーション高山
pp.338-344
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688201181
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日本は、少子高齢化社会を迎え、「施設から在宅へ」の大きな流れのなか、日常生活、圏域単位での地域包括ケアシステム、つまり在宅を支える医療、看護、介護、生活支援などの包括的な支援のもと、地域での生活の継続や住み慣れた地域で最期まで暮らし続けることのできる社会をめざしている。土台となる考え方は、治らない疾病や障害を抱えても、「本人の選択と本人、家族の心がまえ」、いわゆる本人の意思決定をどう支えるかが重要であるとうたわれている。それを支えるためには、小児から高齢者までの在宅療養者にしっかりと向き合い、支えることのできる訪問看護の果たす役割は大きい。
筆者は、長く訪問看護に携わってきた。その時々で、本人が希望しても家族の意向が優先され、自宅での療養生活が叶わず入院して人生の最期を迎えたり、母親の不安が強く、自宅で家族とともに生活することが困難になり施設入所になった障がい児に関わったりと、もっと私たちができたことがあったのではないかとふり返り、反省することも多い。
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