連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第5回
認知症ケアのイノベーションのとき—国際アルツハイマー病協会国際会議から見えてきたこと
中島 紀惠子
1,2
1新潟県立看護大学
2北海道医療大学
pp.640-641
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200759
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「認知症の人に優しい社会」というイノベーション
第32回国際アルツハイマー病協会国際会議(以下、ADI)開催において、各国のプレゼンターの多くが述べられた2つのキーワードがある。ひとつは高齢人口の増加、もうひとつは膨らみ続ける認知症ケアの国家予算に関して“何もしない”ことのリスクの問題である。
黒川清氏(内閣特別顧問、元日本学術会議会長)は、ロボットのPepper君を連れて登壇し、「認知症ケアの費用は、GDPの数%を占めるようになった。しかし、これに含まれない費用の40〜50%は主に家族や働く女性により無償で提供されるものであり、とくに中低所得国では全体の80%に達する。これを何とかしなければならない。加えて、地域ベースの社会的結合という難問がある。これに立ち向かうには、生命科学、情報科学、工学とともにITやAIの技術推進が重要であり、この人材の活用と社会資源としての人の知恵の活用が、認知症当事者とその家族にとっていっそう重要になる」と述べられた。
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