カラーグラフ 終える命 つなぐいのち・第14回
内に高まるエネルギー
國森 康弘
pp.381-385
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200452
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アール・ブリュット。「生の芸術」を意味するフランス語で、障がいのある人たちがつくる芸術作品のことだ。幾千ものとげの先にまで1本1本深い息遣いを感じさせ、その集合体が、見る者の心に鎮座する陶土。1頭の動物のなかに無数の有機物が共生し、うごめく絵画。どこまでも細かく、緻密で、規則正しいリズムのなかに、時に荒れ狂う心情まで写し込む切り絵……。表現者として、負ける。
内に宿した、すさまじいまでの命のほとばしりが、噴き出し、ぶちまかれ、作品を産み落とす。このエネルギーは、看取りの取材を始めて、とくに感じるようになった。それ以前の筆者は「死が近づくほど、あるいは老いや病、障がいが重くなるほど、できることがどんどん少なくなって、弱り果てて、朽ちていく」と思い込んでいた。
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