特集 ユマニチュードは何が違うかⅠ—その有効性と可能性
“関係性の病”としての認知症—「社会脳」の障害とユマニチュード
山口 晴保
1
1群馬大学大学院保健学研究科
pp.300-303
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688200170
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BPSD(行動・心理症状)の多くは、他者との「関係性」のなかで生じます(p. 297)。認知症が、他者と関わるための機能—社会脳—を障害するからです。すなわち認知症は、“関係性の病”ともいえます。「社会脳」の理解は、認知症ケアにおいて最も重要な点です。
ユマニチュードの定義のひとつに、「ケアを行なう人がケアの対象者に『あなたのことを、私は大切に思っています』というメッセージを常に発信する—つまり、その人の“人間らしさ”を尊重し続ける状況」とあります*1。“人間らしさ”とは、人と人との関係性(人間=人と人の間)のもとにあります。すなわちユマニチュードは、認知症による社会脳の障害に抗して、「互いに他者から尊重される関係性」を取り戻そうとする技法といえます。
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