連載 ほんとの出会い・46
市民の力が明日を変える
岡田 真紀
pp.70
発行日 2010年1月15日
Published Date 2010/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101522
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ある土曜日の夜,近所の女性センターに行った。そこでは,かわいい小学生や中学生が勉強していた。戦後中国に取り残された,いわゆる「残留」日本人の3世の子どもたち。中国から来たばかりで日本語が全然話せない男の子は,かるたで日本語を勉強している。
教えているのはボランティアのグループ。この会は生活相談や通訳派遣もしている。「まだ,中国から帰国してくる日本人がいるの?」と思われるかもしれないが,中国で生まれ育った人たちは家族の絆がとても強いので,日本に帰った親とともに暮らすために,今でもその子ども世帯が私費で帰ってきているのだ。けれども,日本語が不自由だと,どうやって仕事を見つけたらいいのかわからない,働くために子どもを保育園に預けたくてもその手続きがわからない,お医者さん一つかかるにも病状の説明ができない,治療法を指示されてもその言葉がわからないと,さまざまな苦労がある。
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