連載 家族にできるケアの手引き―在宅で療養するがん患者の家族のための事前説明ブックレット・18【最終回】
制度の利用法とまとめ
福井 小紀子
1
,
田中 千賀子
2
1千葉大学看護学部訪問看護教育研究分野
2田園調布医師会立訪問看護ステーション
pp.332-337
発行日 2008年4月15日
Published Date 2008/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101060
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1 在宅で療養する際に利用可能な制度と経済的負担
日本では,がんによる死亡者の死亡場所は92.7%が病院・診療所などの施設内であり,在宅死はわずか6.2%です1)。このようにがん末期のごく少数の方だけが在宅で療養しているのが現状であり,わが国における在宅緩和ケアはいまだ十分に浸透していないといえます。
この理由として,在宅緩和ケアの対象者に最初に関わる病院の医療従事者に,がん末期になっても在宅医療を受けながら自宅での生活が可能なことが周知されていないということ,また,がん末期になったら,病院で過ごすものだという考えが国民と医療従事者の間で通念化しているといったことが挙げられます。なかでも,がん末期の方が在宅療養を選択肢の一つとして考える際の必須情報である「在宅療養を行なうときにどのようなサービスが制度を使って受けられるのか」と,「その経済的負担はどのくらいなのか」という2つについて,国民や医療従事者の知りたいという高いニーズがあるにもかかわらず,それを知る機会がないということが,筆者らのこれまでの研究調査結果や,末期がん患者とそのご家族および医療従事者とのやり取りで明らかになっています。
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