連載 大牟田発! 地域の縁側で認知症ケア・5
実を結んだ地域の掘り起こし
牧坂 秀敏
1
1地域福祉館「藤井さん家」
pp.690-693
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100896
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体験デイのすすめ
●一日体験デイの試み
外歩きを日課としているFさんと一緒に藤井さん家の周辺を散歩する機会が多くなり,必然的に隣近所の方とふれあう機会が増えた。Fさんは,藤井さん家を週6日利用するが,家族の要望でデイサービスからの帰りは徒歩で自宅まで送ることになった。帰ってからまた外出しなくてもいいようにという思惑からである。
帰りのコースに,Gさん(73歳・男性,夫婦2人暮らし)のお宅がある。いつものようにその前にさしかかったとき,外出しかけていたGさんの妻が引き返してきて「今から散歩ですか」と声をかけてきた。「いいえ,ご自宅に帰るところです。どうですか,お父さんは。昨日,お顔をみましたよ」といえば,「うちの人も連れ出してくれませんか」と訴えるような目をしていう。やっとその日が来た。「それじゃ,連れ出しましょうかね」。
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