連載 大牟田発! 地域の縁側で認知症ケア・2
「藤井さん家」の開所
牧坂 秀敏
1
1地域福祉館「藤井さん家」
pp.404-407
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100875
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そしてドラマは始まった
●履歴が物言う世界
2006年12月3日に開所してからというもの,息つく暇もない状態が続く。というのは,12月中に大牟田市主催の「認知症対応型通所介護事業指定」の委員会が開かれるというのだ。これを逃すと,次回の4月まで待たなくてはならない。躊躇することなく「よし! 間に合わせよう」と,事業指定申請の書類作成に追われることになった。「指定地域密着型サービス事業所・指定地域密着型介護予防サービス事業者指定申請書」をはじめとする20を超える数の書類を用意しなくてはならない。
そこで一つ問題が持ち上がった。管理者となる私の履歴である。介護保険法「指定地域密着型サービス事業の人員,設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令第34号)によれば,「管理者は適切な指定認知症対応型通所介護を提供するために必要な知識及び経験を有する者であって,厚生労働大臣が定める研修を修了しているものでなければならない。」(下線筆者)となっている。研修は2006年度中に終えればいいので,問題は前半部分。私は介護施設などでの実務経験があるわけではない。市役所の担当者から,「これまでの略歴を書かれたらどうですか」と助言され,10年以上の活動をA4用紙4枚にわたる「私の略歴(主に介護関係を軸に)」としてこれまでの記録と記憶を頼りに書き上げ,提出した。結果,物議をかもすことはなかったようだが,ここでは中身よりも実務経験が重んじられる。後の認知症対応型サービス事業管理者研修申込みの際にも,実務経験がないことが指摘された。
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