文ちゃん日記⑤
文ちゃんの日常
遠藤 緋佐子
1
1㈶横須賀市健康福祉協会よこすか訪問看護ステーション
pp.133
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100625
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- 文献概要
週1回の訪問看護。「おはようございます」と部屋に入る。「どうしたん? しばらく来んかったね」と言われる。いつもの散歩コースは40分。きれいな草花でいっぱいの団地の遊歩道を歩く。
連れ立って家を出たとたん,文ちゃんの話が始まる。自分の兄弟のこと,職場のこと,早くに妻を亡くしひとりで幼い子どもを4人育てたこと,その4人全員を大学までやったこと,そして,2階建ての家を建てひとり暮らしをしたこと。いつもこの5つのパターンの話を繰り返し話し続ける。話についての質問は,はぐらかす。「花がきれいね」と指さしても見向きもせず話を続ける。子供が大きくなるまで妻はいた,とつじつまの合わないことを自分で言っていてもお構いなしである。1日5回以上繰り返される文ちゃんの栄光のストーリーを,私はもう暗記してしまった。
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