文ちゃん日記②
文ちゃんをあなどるな
遠藤 緋佐子
1
1(財)横須賀市健康福祉協会よこすか訪問看護ステーション
pp.911
発行日 2002年11月15日
Published Date 2002/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901417
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- 文献概要
文ちゃんは20年ほど前から,糖尿病で入退院を繰り返していた。50歳台で妻を亡くし,子供はそれぞれ自立。「自分の金は全部自分で使う」と好きなだけ飲み食いをし,独居には寂しさも感じていたものの,誰にも遠慮せず楽しく暮らしていた。しかし2年前,病状の悪化と周囲の人々の希望もあり,横須賀で長男一家と同居生活をすることになった。
(み)はカロリー計算をして食事を作り,インスリン注射をし,文ちゃんを介護したが,当の本人は病気はたらふく食べれば治る,と信じて買い食いをする。痴呆に病識がないのは当然としても,文ちゃんには学習が必要だと考える(み)の懸命の戦いが続いた。しかし,(み)の苦闘をよそに,文ちゃんは散歩に出て,少しお腹が減ると私をスーパーに誘う。「弁当こうたろか?」と。
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