文ちゃん日記③
文ちゃんのよそおい
遠藤 緋佐子
1
1(財)横須賀市健康福祉協会よこすか訪問看護ステーション
pp.989
発行日 2002年12月15日
Published Date 2002/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901438
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文ちゃんはオーダーのスーツを着ていた。とてもおしゃれな人なのである。今日も日に何回も鏡をみる。そして何度もひげを剃る。自分では50歳代と思っているのに,眉毛が白い。そこでサインペンが登場する。散歩に出るときは3つの帽子の中からお気に入りを1つ選ぶ。さらに,財布・鍵・印鑑など,大切な物がポケットに入っている愛用のベストを着て,その上にジャンパーを羽織る。足元はスニーカーだ。
季節にあった“いでたち”についての常識が,世間一般に薄れてきた感もある昨今だが,文ちゃんの格好について,さすがに「これはおかしい」と思うときがある。「夏に生まれたから,夏には強い」と言いながら,3枚重ねで汗をかきかき歩く。11月の予防注射のときは,8枚重ねであった。2月のよく晴れた日に,夏用の背広で外出し,寒さのあまりすぐ帰宅する一幕もあったという。季節がわからないようで,目に入ったものを着てしまう。
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