特集 在宅をめぐる「食」の話題
【訪問栄養食事指導の実例から】
②身体計測を指標とした低栄養の改善
川上 純子
1,2
1相模女子大学短期大学部食物栄養学科
2ハッピーライフサポートつくしの会
pp.931-934
発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100586
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■在宅療養者における低栄養への関わり
高齢者における最大の栄養問題はエネルギー・たんぱく質の低栄養状態(PEM)で,身体計測を含めたアセスメントを行ない,栄養評価に基づいた栄養療法が必要になる。効果的な栄養療法を行なうことで,栄養不良に伴う医療上の弊害が解消され,治療効果の向上,QOLの向上,ひいては医療費の削減にもつながるため,さまざまな観点から低栄養へのアプローチが行なわれている。本稿では,体重を指標とした低栄養アセスメントとその介入事例の実際を紹介する。
体重は全身のエネルギー貯蔵量を反映し,その減少率はエネルギー代謝やたんぱく質代謝が,マイナスのバランスにあることを示す1)。体重減少率が5~8%以上では,免疫応答能の低下,筋力の低下,呼吸機能の低下,温度調整機能の障害,うつ状態などが観察される2)。さらに体重減少率が5%以上の場合は1年後には褥瘡発生,喫食状況の低下,食事介助を要するなどの状態となったり,日常生活活動動作が低下したりといった項目で高いリスクが認められる3)。
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