特別記事
支えあう温かいまちづくり,東京会議によせて
菅原 公代
1
1認知症高齢者を地域で支える東京会議委員(公募都民)
pp.299-302
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100427
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
私が交通事故を起こしたのは何年前になるのでしょうか? 当時,パート勤めの私は,受験生をかかえ,認知症初期の父を介護していた母をサポートし,家事のこと等々で時間に追われる日々,事故が起きたのは気持ちにゆとりがなくなっていたためだと思うのです。
身に心に余裕がある時,介護は親孝行の真似事ができると喜びに感じられますが,余裕がない時は,時として苦痛にも思え,そんな自分に嫌悪感と罪悪感が募りました。そうした日々を過ごす中,父の認知症はさらに進み,混乱の時が訪れました。理解できない父の言動を前に,私の蓄えていた知識は吹き飛び,ただオロオロするばかりでした。途方にくれた母と私は,あちこちに助けを求めたのですが,その尋ね方が悪かったのか,援助の手や的確なアドバイスはどこからも届いてはきませんでした。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.