特集 改正介護保険から1年
がん患者の希望を受け入れ実現した在宅での看取り―ケアマネジャーの役割は果たせたか
我妻 正子
1
1あい薬局居宅介護支援事業部
pp.279-285
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100420
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
2006(平成18)年4月1日より介護保険が改正され,第2号被保険者(40~64歳)の特定疾患に「がん末期」が加えられました。改正以前は介護保険が適用されず,在宅療養で必要となる福祉用具のレンタルやヘルパー利用はできなかったことから,経済的にも家族の介護においても負担は大きく,自宅に帰りたくても帰れない状況がありました。
私が担当していたケースでは,介護保険の改正以前,65歳以上のがん患者のマネジメントにおいても「状態が悪化すれば病院へ」という流れがあり,自宅での看取りはほとんどありませんでした。しかし昨年4月,特定疾患に「がん末期」が加えられ40歳以上から介護保険が適用されるようになると,それまで病院でのターミナルを望んでいた高齢のがん患者さんにも,家族とともに過ごしたいと自宅に戻ってこられる方が増えてきています。
そのような方と支える家族に対して,ケアマネジャーはどこまでコーディネーターとして動き,ニーズにそったマネジメントができるのかが問われていると思います。
がん患者に対するがん性疼痛緩和のための知識や精神面のフォロー,同時に家族に対してのフォローなど,医師や訪問看護師と連携を取りながら,看取りのマネジメントをしていかねばならないと受けとめています。
本稿では,育ち盛りの子どもたちと暮らす母親の在宅におけるターミナルケアをマネジメントした経験を紹介しつつ,医師,訪問看護師との連携について述べたいと思います。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.