特集 難病患者・家族への地域ケア
保健所を基盤にした難病患者への取り組み
吉田 陽子
1
1荒川区荒川保健所
pp.1090-1094
発行日 1990年12月10日
Published Date 1990/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662900164
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はじめに
難病患者は根本的治療法がなく,療養生活のほとんどを存宅で過ごしている。症状がすすむと身体の移動が困難となり,医療の確保が難しくなったり,不治の病とあきらめて自ら医療放棄をする者も少なくない。また,家族は介護法がわからず疲労から倒れたり,長い経過の中で生計維持への不安を持つことが多くみられる。これら患者や家族が抱える問題は,多面的であり,1つの機関では総合的に対応することが困難である。
荒川区ではこのような患者に対し,昭和48年頃より保健所保健婦による家庭訪問を開始し,その後,関係者が総合的に関わる難病検診や難病相談室,またチームによる難病患者訪問診療事業などに取り組んできた。そこで,これまでの経過と成果および今後の課題などについて述べてみたい。
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