実践報告
高齢難聴者の補聴器装用による残存聴力活用効果と装用行動支援―介護療養型医療施設における取り組み
星山 伸夫
1
,
池田 亜美
1
,
山野 信子
1
,
川島 朋子
1
,
福田 友紀子
1
,
松嶋 美正
1
,
鏑木 崇予
1
,
中瀬 浩二
1
,
河合 悟
1
1医療法人社団ますお第2北総病院リハビリステーション科
pp.956-961
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100236
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はじめに
高齢になるにつれ,聴力やことばの聞き取りなどの聴覚機能は低下していく。高齢者施設における言語聴覚障害の実態調査においても,難聴によるコミュニケーション障害者が多く存在する1,2)。これに対して,2002年の日本言語聴覚士協会による訪問言語聴覚療法に関する調査では,訪問対象ケースの57名中,難聴者は1名とわずかである3)。在宅要介護高齢者の中には老人性難聴によるコミュニケーション障害者が多く存在することが経験的に知られているにもかかわらず,その対策は十分ではない4)。
難聴による情報入力の低下が社会からの孤立を招き,認知症(痴呆)の危険因子となっている可能性5)も指摘されており,老人性難聴に対する早期の対応は訪問看護・訪問リハビリテーションの場においても重要な課題である。
今回,我々は難聴の自覚を把握してから,比較的早期に補聴器(Hearing Aid,以下HA)装用による残存聴力活用を試み,さらにHAの自己装用・管理も含めた行動支援により短期間に装用効果を認めた事例を経験した。本稿は,高齢難聴者へのHA装用のすすめ方と留意点,訪問看護・訪問リハビリテーションの場での高齢難聴者への支援方法について示唆を得ることを目的としている。
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