特別記事
高齢者に日常みられやすい脳神経症状―①加齢による変化のメカニズムとケア
城 美奈子
1
1北海道医療大学認定看護師研修センター
pp.752-758
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100204
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はじめに
年齢を重ねるにつれ,私たちのからだにはさまざまな加齢症状が出てきます。
自立して生活しているAさん(93歳)は,「立ち上がるときに膝が痛く,思うように歩けない」「手や指に力が入らず,今までできていたことができなくなった」「トイレまで間に合わず,おもらしをしてしまう」「スリッパを履くときに時間がかかる」「歩いていて,いつのまにかスリッパが脱げていることがある」など,日常生活行動が思うようにできず,悲しくなってしまうと訴えます。Aさんの症状は加齢によってみられる生理的な神経症状です。
これとは別に,「最近とみに転ぶようになった」「突然,手に力が入らなくなり,箸を落としてしまった」「口の動きが悪く,呂律の回りが変だ」というような病的な脳神経症状があります。
一見,同じことのようにみえるこうした生活行動障害が,何に起因して,どのようにして起きるのか。そのメカニズムや観察のしかたを知った上で,ケアの工夫や受診行動をうながすことが,訪問看護師をはじめとした高齢者の生活支援を行なう者には必要ではないでしょうか。
そこで2回に分けて「高齢者に日常みられやすい脳神経症状」について連載します。
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