特集 個人情報保護法への対応
個人情報保護法と訪問看護・介護のサービス提供―法の背景とポイントを整理する
高野 龍昭
1
1東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科
pp.540-548
発行日 2005年7月1日
Published Date 2005/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100167
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はじめに
「個人情報の保護に関する法律」(いわゆる個人情報保護法,以下「法」)などの個人情報保護関連5法は,2003年5月30日に公布,一部施行され,2005年4月1日から全面施行された。また,2004年12月に厚生労働省から「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」(以下「ガイドライン」)が通知された(補足して「Q&A(事例集)」も2005年3月に出されている)。
これらにより,訪問看護や居宅介護支援事業などの介護保険居宅サービスの現場において,個人情報の保護に対して一定の基準に基づく対応が求められることとなった。居宅サービスの分野でも,個人情報の取り扱いについての認識を新たにする必要がある。
その一方,実際の対応を巡っては混乱や誤解も多い。たとえば,サービス提供への支障になるという声や,この法によって利用者への不利益が生じるという意見すら聞こえる。
だが,本来的にこの法は,個人情報を取り扱う者に「個人情報の有用性に配慮しつつ,個人の権利利益を保護する」(法第1条)ことを求め,いわば「個人の人格尊重」(法第3条)の理念の下における対応を促している。つまり,個人情報を収集することをいたずらに否定するわけでもないし,利用者への有効なサービス提供を阻害する性格にもない。
そこで本稿では,この理念を具体化するための考え方や姿勢のヒントを実践現場に示すことを目的に,法制定の背景や概要,ガイドラインのポイントを整理する。
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