特集 認知症の人と家族をどうサポートするのか
どうしたら本人の望む生活を支えきれるか―独居の認知症高齢者の終末期支援から学ぶこと
栄木 教子
1,2
1(財)大阪市おとしより健康センター
2大阪市中央訪問看護ステーション
pp.471-476
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100153
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はじめに
看護ケアを考えるとき,患者の自己決定の尊重は大切なことの1つですが,認知症高齢者の終末期ケアにおいて,それを実行するのは容易ではありません。前提となる他疾患の告知率,意思表示率も低いわが国の現状として,「自宅で死にたい」という意思を文書で示していた人が,わずかに0.5%,口頭で24.4%,不明が31.3%意識障害や認知症で意思表示不能な人が17%存在していたという調査もあります(日本福祉大学終末期ケア研究会による全国訪問看護ステーション調査1998~2000年)。
今回,認知症高齢者であるTさんのケアに関わり,判断能力の低下があっても自己決定を尊重して人としての尊厳をまもれるようチームで在宅ケアに取り組んだケースを紹介します。
訪問看護ステーションからみた地域ケアシステムと,介護保険・医療保険制度の矛盾や課題についても考えてみたいと思います。
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