特別記事
「いかんともしがたい事態」をやさしくたくましく受け入れていく―役者・市原悦子さんとの出会いが呼びさましたもの
加納 佳代子
1
1八千代病院
pp.390-395
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100138
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本誌1月号(10巻1号)で,特別企画の1つとして,脚本家の山田太一さんと佐々木静枝さん(訪問看護ステーション北沢管理者)の対談を掲載しました。対談のきっかけとなったのが,山田さん脚本による,訪問看護をテーマにしたドラマ「やがて来る日のために」(5月6日フジテレビ系で放映予定)です。このドラマで主人公の訪問看護師を演じるのは,市原悦子さん。弊社発行の雑誌「看護管理」4月号で,市原さんへのインタビューを行なった加納佳代子さん(八千代病院看護部長)が,市原さんとの出会いによって引き出されたさまざまな思いについて,寄稿してくださいました。
特別な日になるという予感を超えて
義母の在宅生活に寄り添った人々
テレビドラマ「やがて来る日のために」で訪問看護師役を演ずるという市原悦子さんに,雑誌のインタビューでお会いしたのはさる2月3日。夫の母の誕生日だった。私は市原さんにお会いしてすぐさま,今日は義母の誕生日だと伝えた。
義母は昨年6月,自室で家族と看護師と医師に見守られ83歳で亡くなった。日中,家族は留守なので,義母は訪問看護と介護で支えられていた。ストマに苦戦しながらも,「死んでもいいけどがんには負けたくないの」と言って,がんに効くという健康食品に囲まれていた。私が電話で,「モルヒネは好きなだけ使えばいいから」と言うと喜んでいた。
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