連載 住宅改修はジグソーパズル・3
手すり取り付けの攻防
田中 康之
1
1八千代市保健福祉部高齢者支援課在宅保健班
pp.298-303
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688100069
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「とりあえず付けておこう」では効果は出ない
日本は男女とも世界有数の長寿国の1つである。平均寿命が長くなったということは,高齢者になってからの生活時間が長くなったということである。生まれてから身体機能のピークを迎えるまでの時間が同じであれば,平均寿命が長くなるということは,ピーク後の身体機能の低下は緩やかになり,何らかの生活上の支障が生じてから亡くなるまでの時間も以前より長くなる(図1のaとb)可能性が高いといえよう。
現在は要介護状態になっても自宅で生活する高齢者が増えてきている。それは本人や家族の希望によるところも多いであろう。しかし,平均寿命が延び何らかの生活上の支障を来した高齢者が増えたとしても,病院や施設の数がその数に追いつかなければ,自宅で生活せざるを得ない割合が増えてしまうのもまた現状ではないだろうか。すなわち,「望む」「望まない」に関係なく,身体機能が低下しても在宅で生活せざるを得ないのである。
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