隔月連載 家族のゆくえ・1【新連載】
親も被害者か
信田 さよ子
1
1原宿カウンセリングセンター
pp.42-45
発行日 2001年1月10日
Published Date 2001/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902304
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隠された"世紀末"
21世紀を迎え,希望や展望を語る言葉が巷に溢れている。それにしても,振り返ってみれば,昨年の集中豪雨のような家族の事件の多発ぶりはどうだろう。仕事柄マスコミのインタビューを受けることも多く,おかげで否が応でも,考えさせられることになった。私などはまさに世紀末という感を強くしたのだが,その只中にいるマスコミはその言葉を避け使わないようにしていたと思う。
新潟,千葉,岡山,愛知,山口,熊本……と,事件の起きた地名を挙げていくと,ある感慨を覚える。それは今や子どもたちにとって住みやすいのは,決して自然に恵まれた地方都市などではなく,東京に代表される大都市なのだということである。ある週刊誌に愛知と岡山の事件を起こした少年の家の写真が掲載されていた。その2つは恐ろしく似ていた。家の前に広がる青々とした田園,立派な2階建ての家屋,その背後には山の緑濃い樹木が広がっていた。そのような自然は少年にとってどのような力になったのだろう。
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