連載 ベスにふれて―病棟間交流がもたらしたもの・5
勇気づけ,支え合うコミュニケーション
福留 はるみ
1
1日本看護協会専門職業務課
pp.944-948
発行日 1998年12月10日
Published Date 1998/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902273
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新たな変革期の中で
ベスと東大病院整形外科病棟との交流が始まった1992年頃,ベスに関する情報はすべてうらやましい限りであった.優れた理念と哲学に基づき,看護の質を向上させるエンカレッジシステムとサポートシステム,ケアの一貫性と継続性を保証するプライマリナーシング,権限の委譲と責任の明確化をめざすヨコ型の組織構造など,ナースが心地よく働ける環境が完璧であるように感じた.特に,プライマリナーシングは魅力的であり,1人のナースが日勤で受け持つ患者は3名ほどであった.まさに看護に集中できる環境でナースは誇りと責任を自覚し,成長しているようだった.
ところが,私が訪問した1995年から1997年の間に,ベスも大きなヘルスケアリフォームの波に押され,ディコネス病院との合併やコスト削減に伴い,ナースの職場環境にも変化を来していた.ナース1人が日勤で担当する患者数は6,7名にもなり,日本と変わらない状況になっていった.しかも在院日数は3日ほどと少ないため,受け持つ患者のほとんどが重症・急性期で不安定な状態にあった.
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