特集 患者中心の面会を実践する
患者中心の面会をどうデザインするか―面会の意義を実践に導くアセスメントガイド
西元 勝子
1
1固定チームナーシング研究所
pp.786-789
発行日 2000年10月10日
Published Date 2000/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686902009
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
入院の状況や立場で異なる面会のニーズと課題
胃切除術で入院した友人がしみじみと言った。「入院中の面会が一番うれしかった。励まされ癒されたのは,親しい人の面会だった。術後で動けない時,熱や痛みのある急性期には家族や親しい友人が,回復期には職場や近隣の人々との話が刺激になり,毎日面会時間を待ちながら過ごした」と。また,骨折で入院した別の友人は「面会には会いたい入と会いたくない人があり,うれしい面会も時間が長くなると疲れてしまい,処置やリハビリを理由にナースから配慮のある介入をしてもらったときは助かった」と話してくれた。さらに面会には,症状や治療処置とは関係なく,個室入院などには面会謝絶という対処の仕方もある。
老年期うつ症状で入院した86歳になる筆者の母は,面会時間になると寝巻きから服に着替えて,訪れてくる人をひたすら待っている様子であった。しかし,面会に行くと,ほとんど喋らず暗く不安げで,会いに行った者がエネルギーを吸い取られてしまい,疲れがどっと出てきそうな面会が続いた。母は面会終了の時間が近づくと私に帰りを促し,病院の玄関まで送ってくれるのだが,いつも別れが寂しそうで悲しげであった。そんな面会の後は,母を一入置いて帰るのが辛くて,気持ちが沈んでしまい,後ろ髪引かれる思いで帰宅した。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.