連載 看護経済学―看護サービスの経済評価・5
米国のhome careの実態に見る日本の在宅看護の課題
金井Pak 雅子
1
1国際医療福祉大学保健学部看護学科
pp.358-363
発行日 1996年5月10日
Published Date 1996/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901957
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はじめに
わが国では,ゴールドプランや新ゴールドプランにより,訪問看護ステーションが全国レベルで設置されつつあり(2000年までに5000か所,1996年1月末で1080か所),いわゆる「在宅看護」の普及がさかんに推進されている.こうした公共事業としての取り組みの他に,病院の訪問看護部門や私的機関でも在宅療養を可能にするさまざまなシステムが存在している.今後,医療の高度化や老齢人口の増加に伴い,その需要はさらに増加の傾向をたどることは明らかである.
「在宅」は,診療報酬改定の際にもここ数年その柱となっている.1992年4月の診療報酬の改定からは,在宅医療・看護に関する項目も増え,それらに対して毎回の改定で点数が増している.しかし,それが即経営に反映しておらず,訪問看護ステーションの8割は赤字との報告もある1).また,医療経済全体のシステムから見て,在宅看護に物を売り買いするような姿勢を導入することは,今後,病院サービスに患者負担を増大させる危険があるとの批判もある2).
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