研究・調査・実践
病床稼働率に基づく看護婦の多忙度の表現法
大室 律子
1
1文部省高等教育局医学教育課
pp.170-173
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901817
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年の医学医療の進歩発展に伴い,大学病院における高度先進医療の普及は目覚ましい.同時に,看護業務も高度化,複雑化し,かつ業務量も増大する一方である.看護行政の場においても看護要員確保を重点事項としているにもかかわらず,財政事情が厳しく,看護要員確保は困難を極めている.そのような情況の中で,看護要員を増員する際,看護要員の多忙度等1)-8)を客観的に示すことが重要になる.この点については現在個々の施設で「看護度」等を用いた研究がなされているが,多忙度を反映する適切な指標を見出すことはなかなか困難で,個々の病院の看護要員を比較したり必要数を算出する際支障を来すことが多い.
病院の設置目的により看護要員の不足情況は様々と思われるが,大学病院として,教育研究という同じ使命をもつ私立大学附属病院との比較も大切であろう.なにかにつけ私立大学附属病院の病床稼働率が国立大学のそれに比べて高いことが取り挙げられる.その際,私立大学附属病院の看護婦数が国立大学附属病院の倍以上配置されていることは考慮されないことが多い.これも看護婦の真の多忙度を示す指標が必要なのに,適切な指標がないために起こる誤解であろう.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.