連載 チーム医療の現場から医療制度を考える・9
Careful for Caregiver
本田 宏
1
1埼玉県済生会栗橋病院外科
pp.727-729
発行日 2002年9月10日
Published Date 2002/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901706
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ただ一度のミス
日本や韓国だけでなく世界中を沸かしたワールドカップが終了した。決勝は鉄壁の守りを誇るキーパー,カーンを擁するドイツと,破壊的な攻撃力3R(ロナウド,リバウド,ロナウジーニョ)で対抗するブラジルの戦いとなった。カーンは決勝戦でも超ファインプレーを連発してゴールを死守していたが,後半リバウドの強烈なシュートをこぼしたところをロナウドに押し込まれて敗退した。準決勝までたった1点の失点に抑えていたカーンが痛恨のミスを犯して事実上ドイツの負けが決定した。試合後,それまで完壁に抑えていたカーンに,他のドイツの守備陣が油断しカバーが遅れたという解説もあった。その後,カーンはワールドカップの最優秀選手にゴールキーパーとして初めて選ばれた。
そのワールドカップ決勝の2日前に,医療事故で2名の医師が逮捕された。その行為そのものの罪は問われるべきだが,同じ医療関係者として事故前までに2名の医師が行なってきたであろう多くの努力を想像すると,暗澹たる気持ちになった。サッカー選手は次のワールドカップを目指せばよいが,医療者にやり直しは許されない。医療の厳しさを改めて強く認識させられた。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.