連載 白衣のポケット・3
ほほえみの理由
志水 夕里
pp.476-477
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686901022
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Aラインも人工呼吸器もわからない私が,ICUに入りたての頃,それはそれは緊張していました.情けないと思いながらも,患者のことより気にしてしまうのが,はたして自分はここのスタッフに受け入れられるのかどうか,ということ.無我夢中で,ヘトヘトの気分でいる自分に気づくのさえ,今頃のような新緑美しい季節になってからだったような気がします.
だから,その張り詰めた糸のような気持ちが初めて和らいだ時のことは,今でも覚えています.何のことはない,準夜に出勤してきた先輩の「おつかれさま」という一言を聞き,満面の笑顔を見た時でした.
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