特別論文
ボーダーラインの患者管理とその病棟管理
三原 晴美
1
1セントエリザベス・メディカルセンター内科精神科
pp.781-788
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900912
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はじめに
ウィドガーとフランシス(1989)によると,精神科の外来患者の11%,そして入院患者の19%は,ボーダーラインの患者だったそうです.しかし,ボーダーラインに対する確定的な治療は少なく,多くの治療者は,その看護管理をもてあましているのが現状のようです.精神科で働く医師やナースなら,必ず一度はボーダーラインの患者を診たり,ケアをした経験があると思います.ボーダーラインの患者の管理をする場合には,単に患者のケアにのみ集中していると,その他の部分(たとえば,他の患者のケアやスタッフの感情・勤務状態,患者間の人間関係,患者とスタッフの人間関係など)にもボーダーライン患者の言動が影響を及ぼしていることを把握できない可能性もあります.その結果,患者や病棟の安全が保てず,管理も円滑に行なわれないことがあります.
今回は,あるボーダーラインのケースを利用し,クリティカルシンキング(究極的思考)(注1)を用いてケースの検討をしてみたいと思います.
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