特集 あなたの病院の感染管理はこれでよいのか?
北里院内感染対策協議会の院内環境管理システムの経験から
鈴木 達夫
1
1(社)北里研究所医療環境科学センター
pp.168-175
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900615
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はじめに
近年,院内感染は,患者の高齢化や慢性疾患患者の増加,あるいは高度な医療技術の実施によりつくられる免疫不全状態の増加,また,抗生物質に対して耐性であるMRSA・VRE・TBの出現により,大きな社会問題となっている.今後さらに強力な制癌剤による化学療法や,より高度な外科的手術が一般化することで,一過性の生体防御不全患者は一層増加するものと予想される.
一方,医療過誤訴訟の多発化は,病院経営を圧迫し,高度医療技術の発展を妨げる要素ともなっている.その防止策は重要な経営課題となっている.人々の健康と安全を守り,社会の安定を実現させるためには,病院内だけでなく在宅医療も含めた地域社会の健康管理体制と,ヒトの生体防御機能を高めるための努力が必要とされている.
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