連載 かれんと
ランチタイムに思う
小池 直人
1
1名古屋大学情報文化学部
pp.155
発行日 1997年3月10日
Published Date 1997/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900613
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私のような公務員の職場でも,状況は次第に慌ただしくなっており,近頃はゆっくりと昼飯も食べていられないほどプレッシャーを感じる.あれやこれやの雑用や会議が増えるのに加え,「研究に励め」「教育に力を入れろ」といった「お達し」がのしかかるのである.このままでは無意味に「燃え尽き」させられる恐怖感さえ覚える.そこで,かつてポール・ラファルグという人が唱えた労働者の「怠ける権利」を盾にとって,また「悪名」高かった,巨人の江川選手のように,可能なところでは「手抜き」をしながら,「使い捨てられてたまるか」「自滅してたまるか」と自衛するこの頃である.
数か月前まで滞在していたデンマークの研究所では,スタッフの十数人が毎日,テーブルを囲んでワイワイとランチタイムを過ごしていた.そこは仕事に関する情報交換の場でもあるが,日本風に言えば井戸端会議のような場でもあり,シリアスな話から与太話まで飛び出す.特に,所長やリーダー格のスタッフは,ユーモアの「鉄人」で,あれこれと言葉巧みな冗談で集まった同僚を笑わせる.まるでそれがリーダーの資格とさえ思えるほどである.
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